藤本歯科長洲医院

歯科医のコラム

親知らず

口腔外科

皆さんはご自分の親知らずがあるかないかご存知ですか?

口の中のいちばん奥。
大きな歯が2本あって、そのまた奥に生えてくる最後の歯です。完全に生えている、完全にもぐっている、半分くらい生えている、状態は様々です。

語源としては、18歳から20歳前後、親元を離れるころに生え、親が歯の生え始めを知らないために、親知らずという名がついたといわれています。英語ではwisdom tooth。物事の分別がつく年頃になってから生えてくることに由来しており、日本語でも別名として智歯、知歯と言われます。歯科医などが使う正式名称としては第三大臼歯です。また、歯は前の方から何番目という呼び方をしますが、親知らずは、8番目の歯となります。

原始人は上下左右、4本の親知らずがきちんと生え、しっかり役目を果たしていたようですが、原始人に比べてずいぶんアゴが小さくなってしまった現代人にとっては、生えてくるスペースが足りないため、退化傾向にあるといわれています。

4本全部は生えてこない人も多く、小さかったり、横向きに出てきたり、歯茎のなかに埋まったままだったり、中にはまったく生えてこない人もいます

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生えてくるときから、周囲に刺激を与えて、歯肉に炎症を起こすことがあります。他の歯のようにまっすぐあるべきところに生えてこないこともあるので、横向きに生えてきて周囲の歯茎やアゴの骨を圧迫して痛みを与えたり、親知らずと対向するアゴの歯肉に傷をつけたり、頬の粘膜を痛めたりします。

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きちんと生えてきてからも、歯ブラシが届きにくいほど奥に出てくるので、歯磨きが行き届かず不潔になりがちで、歯のまわりの歯肉に炎症を起こしてズキズキしたり、虫歯になったり、手前の歯にも影響を及ぼしてしまったりします。上と下、右と左にちゃんと生えてこないことも多いので、噛み合わせのバランスが悪くなり、アゴが痛くなったり、肩こりがひどくなる方もいます。つまり、親知らずが生えることで急に痛みが起きるのではなく、生え方が正常ではないことが多いので周囲を刺激してトラブルを起こしたり、しっかり歯を磨くのが難しいため、虫歯や炎症が起きやすく、口腔内にトラブルを起こしやすいということです。

親知らずのまわりに炎症が起きて、一度治っても、疲れたりして免疫力が低下すると、また大きく腫れて痛みが出てくることがあります。奥歯は食べたものが挟まりやすく、歯磨きがしにくいため、虫歯になりやすいのですが、親知らずは奥歯の一番奥ですから、その可能性が高まります。

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横向きに生えてきていたり、手前の奥歯にあたるような形で生えるなど正常な位置でないと、食べ物がいっそう奥歯の後ろに挟まりやすく、ケアもいっそうしにくくなり、悪循環です。症状があって気になっていても、少し時間がたつとだんだん慣れていったり症状が消えると再度放置してしまって、虫歯や歯周病の危険性がどんどん高まっていきます。親知らずだけでなく、手前の健康な奥歯を虫歯にしてしまうこともあるのです。歯並びにも影響することもあります。

女性の場合は、妊娠すると、つわりで吐き気がするために歯磨きがおろそかになったり、ホルモンの影響で虫歯などの歯のトラブルに見舞われやすくなります。しかし、妊娠中に、歯科の治療を受けることは、おなかの赤ちゃんへの影響も気になりますし、悩む妊婦さんも多いと思います。トラブルが予測される場合は、妊娠前に親知らずを抜いておいた方がよいとお勧めします。

しかし、その一方、たいしたトラブルもなく正常に生えているようならば、親知らずを抜かないで、歯磨きをきちんとして大切にケアしておいた方がいいという場合もあります。

藤本歯科長洲医院では大学病院の口腔外科医が金曜午後に抜歯を行っております。

ひとりで心配せずに、まずは歯科医院に来院し相談してみてください。

お待ちしております!


                

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